未知への学び

気象、自然現象、技術、社会現象、生活環境、ヨット、園芸を中心に、自分の知らなかった事、気の付いた事を記事にします。

海の風、アプリ予報と実際の風との比較 その1

海の風、アプリ予報
海の風、アプリ予報と実際の風

今日は、kenji1946です。以前にご紹介しましたが、私はヨットを趣味にしています。自然、海を相手にするスポーツなので、絶えず天候を気にしています。海に出かける前、又、船に滞在している間も、常に天気アプリをチェックし、判断の基準としています。

天気予報の中で最も気にしているのが、雨と風です。雨は単純に雨の中で船に乗りなくないのがその理由です。風は、風向きよりも、風速を気にしています。風速を基準にヨットでの行動を決めているからです。

IT, スマホこれに伴うアプリの進化、更に欧米のアプリの日本への展開は、今までの天気予報、風予報の姿を変えつつあります。

つい半年前までは、Yahooの天気予報だけを使っていましたが、その後、友人に薦められTsurinewsの天気予報と併用して使っていました。

ところが、この二つの天気予報、特に風の予報に関して、時として大きな差があるのです。その差は、10%-20%の差ではなく、倍半分、Yahoo天気予報が2-3m/sの風に対しTSURINEWSは15-17m/sの風との予報。しかもその違いはたびたび起きるのです。

どちらを信じれば良いのか。どう行動したら良いのか?困る事がしばしばです。

簡単に解決策が分かる程単純なものでは有りませんが、方向でも分かればという事で、今回、幾つかの天気アプリの予報と実際の風速とを比べ、下記の様にまとめてみました。

  • 風速とヨット
  • 使用したアプリ
  • アプリと予報地点
  • 観測場所と測定方法
  • 1/20日、12時の天気図
  • 予報結果
  • 実際の風
  • 実際の風と予報との比較

1. 風速とヨット

ご存じの様に、ヨットは風の力で動きますが、動くとは言わず、走ると言います。風が弱くても走ります。弱い風の中で走らせるには、それなりの技術が必要となります。風が強く吹くほど、速度は上がりますが、その分、操作が大変になるのと、コントロールが効きにくい状態になります。

私は、その目安を風速10m/sにおいています。

10m/s以上の風であれば、船に乗らない。海が平穏なので船を出していたが、風が強くなってきた。こんな時もしばしばあります。こんな時、風速が10m/sを越えれば、港に戻る事を自分のルールにしています。

又、風速が、8-9m/sを越え始めたら、縮帆(リーフ、帆の面積を少なくする作業)して、風の抵抗を減らし、操船が容易になるように心がけています。

船旅に出る時には、ある程度天候が悪化しても問題なく航海できるように、予めリーフをして旅に出ています。簡単に、港に逃げ込むことが出来ないためです。

風速と風向きは、海面の様子を見て、又、身体に感じる風の流れで大体分かりますが、正確には、マストトップ(マストの先端)の風速計からの信号で、デッキ上のモニターに指示が出ます。これを見ながら操船しています。

そんな理由で、自分にとって風速は船に乗るうえで、最も重要な関心事であり、10m/sがその大きな目安になっています。

2. 使用したアプリ

冒頭でもお話ししましたが、現在自分は天気予報、風速を知るため、二つのアプリを使用しています。

Yahooの天気予報Tsurinewsの天気予報。どちらも、拠点である西浦、古宇に近いらららサンビーチを予報地点としています。古宇かららららサンビーチまでの距離は直線で約1.6km, 同じように北側を駿河湾に面する地形でもあり、天候、風ともに同じような傾向を示すと思われる。

今回使用したお天気アプリは、 この二つに加えて、一般的で有名なWeather NewsWindy. Windy.com, GPV, お天気.com海天気、以上全部で8つのアプリになります。

使用して、その後、分かった事ですが、お天気. comとTSURINEWSは、お天気.comを運営するボッチ社が提供するお天気情報を元にしており、従い内容は全く同じ。一応、両アプリの予報をここに載せてありますが、お含みおきください。 

Windy. Windy.com, は海外のアプリで、風を利用するスポーツ、ウィンドサーフィン、pパラグライダー、ハングライダー等を中心に日本でもかなり使用されつつあるアプリです。

地点を指定すれば、世界中どの地点でも、しかも地図上にアニメーションで風が表示される非常に使い勝手の良いアプリです。Windy.comについては日本国内でもかなり紹介するサイトがありますが、Windyは今一日本では紹介されていないので、別の機会にご紹介します。

3. アプリと予報地点

各アプリの予報の地点は、全て同じにしたかったのですが、夫々のアプリの特性もあり、古宇とらららサンビーチに分かれています。殆どのアプリでは、古宇は、予報地点ではないため、最寄りのらららサンビーチを選んでいます。

  • Weather News: 古宇
  • Yahoo: らららサンビーチ
  • Windy: 古宇
  • Windy.com: 古宇
  • GPV:古宇
  • お天気.com:らららサンビーチ
  • 海天気: らららサンビーチ
  • TSURINEWS: らららサンビーチ

WindyとWindy.comは、地図上の任意の地点をお気に入りポイントに指定できるため、古宇を指定しています。

GPVは、地図上に風速を示す表示が出るため、古宇付近の風速を読み取ったものです。

4.観測場所と測定方法

一方、風速は船に備えてある風速計の読みを記録しています。風速計はマストトップ(マストの先端)、海面から12mの高さに取り付けられており、それをデッキ上のモニターで読み取っています。

観測地点は、古宇の桟橋、海上、バースの3か所に分かれています。

厳密にいえば、夫々の場所ごとに、風に対する条件が異なるかもしれませんが、風速計海上12mと比較的高い位置に設置されているため、場所の違いによる差異は小さいと考えています。

海上でモニターが示す風速は、船が移動しているため、艇速と風速が合成された見かけの風速となっています。この見かけの風速と艇速から逆合成して実風速を求めています。表ではこれを補正値としています。此の間の計算の過程はあまり意味を持たないので、説明は省略しています。

風速は時々刻々と変化し、しかも振れ幅もかなり大きなものがあります。又、各アプリの予報値には、可成り大きな差があります。又、予報値と実際の風速にも可成りの違いがあります。

このように全てにおいて差がある事は、風と言う自然現象の本質より、避けがたい事だと思います。

私の試みは、そうではあっても、少しでも実際に近い予報、或は傾向を探す試みと捉えてください。

5. 1/20日、12時の天気図

1月12日14時に発表された12時の天気図です。

weathermap
1月20日12時の天気図

御覧のように気圧の谷が本州南岸を通過、同時に東北の日本海側と北海道南部を低気圧が発達しながら通過しています。低気圧はその後、さらに発達しながら東の海上に抜けていきますが、これに伴い、さらに西高東低の冬の気圧配置が強まろうとしています。

6.予報結果

1/20日、12時1/21日、12時の予報、これを数回、時間ごとに記録していきます。

1/20日、12時の予報

日時: 1月18日12時

1_18_12hr予報
1月18日12時の予報-1
1_18_12hr予報
1月18日12時の予報-1

日時:1月19日13時40分

1_19_13.40予報
1月19日13時40分の予報-1
1_19_13.40予報
1月19日13時40分の予報-2

日時:1月20日12時

1_20_12hr予報
1月20日12時の予報-1
1_20_12hr予報
1月20日12時の予報-2

1月21日12時の予報

日時:1月20日15時

1_20_15hr予報
1月20日15時の予報-1
1_20_15hr予報
1月20日15時の予報-2

日時:1月20日18時

1_20_18hr予報
1月20日18時の予報

日時:1月21日8時

1_21_8hr予報
1月21日8時の予報-1
1_21_8hr予報;
1月21日8時の予報-2

 日時: 1月21日11時45分

1_21_11.45hr予報
1月21日11時45分の予報-1
1_21_11.45hr予報
1月21日11時45分の予報-2

7. 実際の風

実際の風の観測結果が下記に纏められています。夫々、時刻、観測地点、船が海上であれば、艇速とヨットの走行状態が記され、風向、風速が示されています。

実際の風1/20-21

実際の風1/20-21

8. 実際の風と予報との比較

ここでは実際の風と予報とを、ある特定の時刻における異なる時刻の予報と実際の風との比較、と対象時刻を限定し、異なる時刻の予報と実際の風との比較の比較の2つの比較をしていきます。

ある特定の時刻における異なる時刻の予報と実際の風との比較

1/20日12時の予報、1/18日12時、1/19日12時、1/20日12時と実際の風、同様に1/21日12時の予報、1/20日15時、18時、1/21日8時、12時と実際の風との比較です。

1/20_12hrと1/21_12hrの予報と実際の風との比較

1月20日の実際の状況は、午前中は非常に静穏、2-3m/s以下の風です。午後から吹き始め、ここに示されるように7-8m/s~10m/s程度の風が吹いています。

アプリの予報と実際の風との比較の結果を3色で色分けしています。これ以降の比較も同様に識別されています。

オレンジ色:比較的当たっている。

黄色   :やや当たっている。

水色   :当たっていない。 

上記の比較を見ると、

  • Windy.comの予報値は大きすぎる。
  • お天気.comはやや大きい。

次に、1月21日の実際の天気は、午前中、始めは平穏。海上では10時半ごろより吹き始め、桟橋、バースでも午後1時過ぎから吹き始めている。12時の各アプリの予報と実際の風速を比較してみます。

  • Weathernews, Yahoo:午後の吹き上げを予測していない。
  • Windy:終日、4m/s, Max:7/8m/sの予測、実際には午前中は平穏で当たっていない。
  • Windy.com:予報の幅が広すぎ、評価しにくい。
  • お天気.com, Turinews:やや数値大きい。
  • 海天気:終日、1-2m/sの予報。午前中は合っているが、10時半からの吹き上げを予測していない。
  • 表で黄色で示されるように、Windyとお天気.comがやや当たっている。

対象時刻を限定し、異なる時刻の予報と実際の風との比較

始めが、1/20日、12時の予報、12時、15時、18時と実際の風との比較です。

1/20_12hr予報と実際の風の比較

比較して分かる事は。

  • Windy.comの瞬間最大風速は、かなり大きい。
  • 実際との整合性は、Windy>海天気>お天気.com>Yahoo>Windy.com>Weather.comの順でしょうか。

次は、1/21日8時の予報、9時、10時、12時と実際の風との比較です。

1/21_8hr予報と実際の風の比較

この日、8時から10時半ごろまでは、弱い北風が吹いていました。1-2m/s程度です。海上では、その後、10時半ごろより7-8m/sを越える南西風が吹き始めています。桟橋、バースでは、もう少し遅れ、昼過ぎから南西風が吹く事になります。

比較して分かる事は、

  • Yahoo, Weathernews、海天気は10時半までの微風は予測しているが、その後の強風は予測していない。
  • 一方、Windy, Windy.com,Turinewsは、朝方の予測を予想していない。

最後は、1/21日12時の予報、12時、15時、18時分と実際の風との比較です。

1/21_12hr予報と実際の風の比較

比較して分かる事は、

  • 実際との整合性は、Windy>お天気.com、Turinews>Windy.com>海天気>Yahoo>の順でしょうか。
  • Windy.comの最大瞬間風速は、大きすぎる。

以上の比較から見えてくるのは、

  • 常に実際の風と整合するアプリは無い。
  • 比較的、整合が取れているのは、Windy、お天気.com、Turinews。
  • Windy.comは、幅が広すぎ。
  • GPVは、地図上に色別の矢印で風速を示すが、地図が小さすぎ、地域、時間をその都度入力しなければならない。しかも風速は矢印の色の識別で表現されている。使い勝手が非常に悪い。中に入っているデータは、日本の固有のデータも組み込まれていると推定される為、多分、Windy  Windy.comのデータ以上のレベル。是非とも、もっと使い勝手の良いアプリに改良していただきたいと思っている。このままでは日本は置いて行かれる。

今回だけの調査で結論を得られるような内容ではないので、もう2/3回、少し違う気象条件で、調査したいと思っています。最後までお付き合いくださり、有難うございました。

 

後記:2019年7月1日、8.実際の風と予報との比較、と画像を中心に編集し直しています。但し、内容自身の変更はありません。