未知への学び

気象、自然現象、技術、社会現象、生活環境、ヨット、園芸を中心に、自分の知らなかった事、気の付いた事を記事にします。

長引く胃腸の大不調ー江田先生に診て頂く

prolongedstomachdisorder
長引く胃腸の大不調

 

胃腸の弱い私は、いつも胃腸のトラブルに悩まされ、時々お腹を痛めては、少し痩せ、その内に回復を繰り返していた。所が、今回は酷い。胃腸を痛めてから3週間が経過。胃腸の大不調感、食欲不振が続き、結局、6.5kgも減ってしまった。その間、掛かりつけの医者に相談するも、彼は「検査で所見は無い」との事で、対処してくれなかった。

このお医者さんを信じていた私もさすがに、此のままではズルズルとやせ衰えていくだけ。胃潰瘍、胃ガン、すい臓ガンとか、何か重大な病気があるならともかく、自分が医者から言われているのは逆流性食道炎。それだけでズルズルとやせ衰え、衰弱して、果ては命を失うなんて・・・との思いが頭をよぎる。

 医者が処置してくれないのなら、自分の力で出来るだけの事をしてみよう。と思いたつのだった。

 ネットを探しまくって辿り着いた先が、江田証先生。先生はピロリ菌と胃ガンとの関係を研究、ピロリ菌がその原因となっている事を始めて解明された消化器内科の専門家でいらっしゃる。

 藁をもつかむ気持ちで栃木市江田クリニックを訪問。先生は問診の後、「これ治りますよ。3週間で治ります。」と仰り、薬を処方。

 

その薬を服用する。日毎に症状は、劇的に改善していく。3日で、それまで続いていた、胃腸の大不調感はほぼ消失。5日後には食欲も70%程度まで回復。1週間で、胃腸の不調感は無くなり、食欲も普通まで戻る。

 

江田先生の診察を受け1週間を経過した今日、これをブログとして纏めました。

  • 長引く胃腸の大不調
  • 江田先生の言葉に背中を押されて
  • 器質性疾患と機能性疾患
  • 良い医者の見つけ方
  • 萎縮性胃炎とピロリ菌の除去
  • 体質が変化しているのかも知れない。
  • 今までの処方薬と江田先生の処方薬

 

3週間後に、再診と胃の内視鏡検査を受けますが、その時に”その後の経過と再診の内容”を再度記事として纏める予定です。

 

長引く胃腸の大不調

胃腸の弱い私は、いつも胃腸のトラブルに悩まされていた。此処、3年ほど、時々お腹を痛め、痩せる事は5-6度あったが、大体2/3kg程度の減量で2-3週間後には回復していた。

今回は酷い。最初に胃腸を痛めてから3週間が経過。良くなるに従い、食事の量も増えるが、増やすと、又胃腸を痛める。これを4度繰り返してしまった。

食事もバナナとヨーグルト、お粥にシラス。これでは、体力も衰えてくる。結局、体重は57.5kgから53.0kgへ、4.5kg減ってしまった。

此の間、掛かりつけの医師、C先生に症状を説明、対症療法を求めるが、彼は、「胃の内視鏡検査でも特に所見は無い、現在処方されている薬を飲んで頂くほか有りません。」を繰り返すばかり。

患者が不調を訴えているのに、「医者としてそれで良いのか?」、「他に何か方法があるのでは?」とは思いつつ、「信じない所には何も生まれない。」又、医者が「所見が無いので打つ手が無い。」と言うのであれば、「自分で食事に気を付け、工夫する事で直さねば」と自分に言い聞かせていた。

体重が4.5kg下がり、しじゅう胃腸が痛み、膨満感、悪寒を感じ、食欲不振となるこの段階になると、さすがにこのままでは治らない。この医者をあてにしていても直る事は無い。

そうであれば、「何とか自分で治す方法を探すしかない。」と思うようになってきた。

その時、作詞家「なかにし礼さんの事が頭をよぎった。

江田先生の言葉に背中を押されて

掛かりつけの医師から見放された「なかにし礼」さんは、直す方法は必ずある筈との信念の基、自身のガンを治癒する方法とその専門医を、必死になって探し、ついにこれに辿り着き、ガンを克服した事を思い出した。

なかにし礼」さんの深刻な状況に較べ、自分のケースは比較にはならない。だけど、掛かりつけの医師が、症状が悪化しているにも拘らず、何の手も打たない、打てない状況という意味では、全く同じ。医師が何の手も打たないのであれば、自分で探すしかない。そう強く思うのだった。

ネットを探しまくって辿り着いた先が、江田証先生の著書、「お腹の弱い人の胃腸のトラブル」「強い胃腸の作り方」。

この本を懸命に読む。胃腸の専門家である先生の胃腸に対する深い知見と造詣、単に病気とその治療方法だけでなく、胃腸と他の臓器との関係、神経、脳とのかかわり、腸内細菌と胃の状況との関係、食物の胃腸に対する影響等、胃腸に関する知見と洞察がそこには満ち溢れていた。

素人の私達患者にも分かるように、種々の症状、対症療法、効果的な薬剤等について、その背景も含めて丁寧に説明されている。

ただ先生は、優しいばかりではありません。我々患者に対し次の言葉を述べ、今の時代に即した自立を促しています。

「今はもう、医師に全てを任せておけば良い時代ではありません。最低限の知識(医学に対する)を身につける必要があります。実際そういう意識の高い人が、以前と同じ健康を取り戻して仕事に戻り、結果的に成功をおさめているようです。」

短い言葉に置き換えれば、”自分の身体は自分で守る覚悟が必要”という事です。

この言葉に私は胸を打たれた。今までの自分は何だったのか?ただ盲目的に医師の言う事に従っていただけなのか?

ある程度の知識と見識を持っていると自負しているのであれば、自分で行動しないでどうする。

しないのであれば、それは自分に対し或は生に対する自己責任を果たしていないのでは? 葛藤が頭の中を駆け巡る。

先生は消化器内科の専門家。当時既に、ピロリ菌が胃に慢性胃炎を起こし、更に萎縮性胃炎になる事は解明されていた。先生は、胃ガンとの関係を研究し、ピロリ菌がその原因となっている事を始めて解明された研究者です。

この先生の事を女房に話すと、食事で苦労しているせいか、直ぐに私の背中を押してくれた。

それではと江田先生宛にファックスで問い合わせ。即刻、受診可能との返信。翌翌日に、栃木市江田クリニックを訪問。

器質性疾患と機能性疾患

診察の際、江田先生は、症状を説明する私のファックスを見て、全てをご理解されたご様子で、ごく簡単に「これ治りますよ。3週間で治ります。」と言ってくれた、「現在服用している薬はこの症状には効きません。この薬は全部やめて、新しく処方するのでそちらを飲んでください。」。 

優しい言葉使いと表情でありながら、それは自信に裏打ちされたものと確信させるに十分なものだった。

初めての診察患者に40分もの時間を費やし丁寧に説明してくれる先生、患者さんを大切にする先生の姿勢を改めて痛感。

更に問診の中で、今までの受診内容を伝えると、「その先生(C先生)はお年寄りですか? その内容では胃の内視鏡検査で分かる器質的疾患だけしか捉えていませんね。機能的疾患は診ていません。その先生は消化器内科の専門の先生ではありませんね。」。

その医学用語は、私にとって初めての言葉であったが、まさに私が心の中で待ち望んでいた内容であった。この先生に出会う事が出来て本当に良かったと思う瞬間であった。

 

この医学用語について少し説明しますね。

  • 器質性疾患:症状や疾患が臓器・組織の形態的異常に基づいて生じている状態。(コトバンク
  • 機能性疾患:機能性疾患は「目でみえる疾患が無いのに症状を訴える疾患」の総称であり、症状によって疾患が規定される比較的新しい概念に基づく疾患である。医師は「症状」という曖昧かつ漠然としたものから診療を行わなくてはならない。(消化管の機能性疾患マニュアル)

この項に関連して次項「良い医者の見つけ方」をご参照ください。

良い医者の見つけ方

江田先生の書籍「強い胃腸の作り方」の中で、ピロリ菌の除去を依頼する医師の選び方として、下記の様に述べています。部分抜粋しています。

  • 現在の胃、十二指腸、食道疾患についての治療方針は、ピロリ菌の深い知識がなければ成立しません。
  • 除菌しても100人中数人は、それから数年以内に胃がんが出て来る計算です。ですから、除菌後の5年間は、1年に1回は専門医の丁寧な胃カメラを受けるようしましょう。
  • 更に可能であれば、ただ臨床経験を積んでいるだけという医師よりも、胃の遺伝子研究や基礎研究を行い、内視鏡画像のさらに奥にある細胞レベルの背景についても研究歴がある医師を選ぶことです。
  • 要は患者さんをただ漫然と診るのではなく、「科学的」「客観的」な診る力があるかどうかです。医師には、科学者としての目も必要だからです。
  • 目安は、その医師が、医学論文を執筆していたり、学会できちんとした発表をしていたり、博士号を持っているかなどで、大まかな区別がつくのではないかと思います。ホームページや医師の書いた書籍、パンフレットを見れば、医師の業績や資格、考え方などが分かります。

団塊世代の少し前の自分は、こんな厳しい目でお医者さんを見たことはなかった。

萎縮性胃炎とピロリ菌の除去

私の病歴について少し触れておきましょう:

現在73才になります。30代後半から胃腸が弱いのに気が付き、医者、病院通いが始まりました。胃炎、慢性胃炎との診断で、医者からは「神経質な性格が胃に悪影響している。」みたいな説明を受けていました。どの病院、どの医者に行っても同じような説明。

今から思うと、この裏で、ピロリ菌が胃の粘膜を少しづつ侵して行っていたのです。医療機器もまだ不十分、医学も今と比べれば、まだ十分に解明されていない時代、こんな医者の言葉に自分も盲目的に洗脳させられていました。

30代後半、若しくは40代前半頃から会社の保険組合で人間ドックをやるようになり、胃のバリウム検査を受検、慢性胃炎との事。

その後、60代前半に会社を定年退職、この機会に自分の健康を十分に検査し、直せるものは直して今後の人生を過ごそうと思っていました。付近の町医者で、当時、大きな病院で胃の内視鏡検査の技術を習得してきたと評判のK医師がいたので、ここで内視鏡検査を受検。

結果は、萎縮性胃炎。K先生、私に「萎縮性胃炎は相当進んでおり、殆ど末期の症状です。」と説明。この先生の処方する薬は、H2ブロッカーガスター。胃腸の不調は治らない。

K先生、胃の内視鏡検査は確かに出来るかもしれないが、患者に対し「殆ど末期症状です。」の説明はないだろう。それに、だったらどう治療するのか?ここが欠落している。

彼は最新の医療機器を使って症状を検査できるだけの先生。検査器具は所詮道具に過ぎない。本来医者であればその先に治療がある筈。K先生にはそれが欠落している。と判断し、開業したばかりだが、地元で評判良いC先生に替えた。

C先生に事情を話し、再度胃の内視鏡検査を受ける。すると先生は、萎縮性胃炎の他、逆流性食道炎の診断し、PPI剤のパリエットを処方。この薬が効いたのか、その後、胃の不調が嘘のように消える。その後、10年ほどこの先生に診てもらい、胃の内視鏡検査、大腸の内視鏡検査を定期的に受けてきた。

体質が変化しているのかも知れない。

江田先生から処方された薬を服用し始めると、症状は日ごとに改善していく。今まで続いていた、胃とお腹の痛さ、胸やけのような重さが、毎日減っていくのが良く分かる。同時に、あれだけ無かった食欲が湧いてくる。嬉しい、精神的にもゆとりと元気を取り戻してくる。

これだけ不調が改善するのは、薬を飲んでいる間だけの現象なのか、それとも身体が回復すと同時に体質が変化しているのか、今後の変化を観察していきたいと思います。

  • 胃痛、重さは、悪寒は日を追うごとに軽くなる。3-4日後には殆ど意識しない程度になるが、それでも少し食べると少し重い状態がしばらく続く。振幅しながら減衰しているよう。5日目には、胃腸がすこぶる軽く、快調な感じがしてくる。
  • 1週間が経過した今日、不調感はなくなり、ほぼ通常食に戻る。
  • 汚い話で恐縮です。その後、2-3日はまだ軟便が続いていたのですが、徐々に締まってくる、便の出方が違うのです。何かお腹の奥の方から、しかも力を入れないと便が出てこない。これは全く今までになかった新しい感覚。1週間後の便の状態は、普通の便よりは少し硬めの便。固くなるのに加えて、便が出ない日がある。この1週間で2日。
  • 何故か体重はなかなか増えない。
  • 血圧にも変化があります。:通常上が140-150、下が82-93程度ーー>現在、上は120-130、下は82-90程度。
  •  体温:35.6℃-36.1℃-->35.9℃-36.2℃

今までの処方薬と江田先生の処方薬

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今までの処方薬と江田先生の処方薬

 

今まで処方されていたお薬と江田先生が処方されたお薬を較べてみましょう。

今まで処方されていたお薬:

  • ラべプラゾールNa塩錠10mg:PPI(プロトンポンプインヒビター)と呼ばれる胃酸の分泌を抑える薬
  • ブスコバン錠10mg:お腹の痛みを抑える薬
  • ガストローム顆粒66.7%:胃の粘膜を保護する薬、胃の粘膜の修復を促進する薬

江田先生から処方されたお薬:

  • タケキャブ錠20mg:PPI(プロトンポンプインヒビター)と呼ばれる胃酸の分泌を抑える薬
  • アコファイド錠100mg:胃のふくらみを改善するお薬。きわめて有効性の高いお薬。飲み始めて3週間するとグンと効果が出て、胃の不快感が取れる。
  • トリメブチンマレイン酸塩錠100mg:慢性胃炎における消化器症状(腹部膨満感、腹部疼痛、悪心、曖気)を改善するお薬。
  • スルピドリ錠50mg:1970年代の統合失調症うつ病、および胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療薬として承認されている。かつて良く用いられた薬剤。ヨーロッパでは販売されている。

ラべプラゾールとタケキャブの比較:

ラべプラゾールはPPI(プロトンポンプインヒビター)と呼ばれる胃酸の分泌を抑えるお薬のグループに入ります。胃酸は胃細胞壁にあるプロトンポンプから分泌されます。

プロトンポンプは胃酸を胃壁に分泌し、カリウムを細胞内に取り込みます。PPIは、酸性環境下で不安定となるため、外側をコーティングで保護し、胃での溶解を防ぎ、腸で溶解するようになっています。

一方、体内に取り込まれたPPIは、そのままでは活性化せず酸性環境である胃酸で活性化します。活性化したPPIプロトンポンプの細胞の一部と結合することに依り、プロトンポンプの作用を阻害しますが、酸に不安定なためすぐに分解されてしまいます。この為、PPIは最大限効果を発揮するまで数日かかると言われています。

ラべプラゾールを含み殆どのPPIは、上記の通りですが、タケキャブはPPIとは異なりP-CAB(Potassium acid blocker)に属しています。胃酸の分泌を抑えるメカニズムはほぼPPIと同様ですが、酸による活性化が不要かつ安定な薬剤です。酸に依る分解も受けず、活性化も不要な為、作用発現が早いと言われています。(薬局業務Noteの内容からの一部抜粋)

 

除去率/治癒率 ラべプラゾール タケキャブ
ピロリ菌除去率 86-89% 92.6%
胃潰瘍治癒率 95.2% 93.5%

「今まで処方されていたお薬」と「江田先生から処方されたお薬」を較べてみると、細かなお薬の働きに関する違いは分かりませんが、素人の私でもその違いが分かります。「今までのお薬」は胃腸を保護、又は痛みを取るお薬だけです。一方、「江田先生から処方されたお薬」は、胃腸を保護するお薬に加えて、胃腸の働きを助ける、促進するお薬も含まれています。その差は歴然としているのではないでしょうか。

長いブログをここまでお付き合い下さり本当に有難うございます。

 

3週間後に江田先生の再診と胃の内視鏡検査を受けます。その後、”その後の経過と再診の内容”を再度記事として纏めます。それも見ていただけるとありがたいです。